

学校では教えてくれない!
プロのミュージシャンに
なりたい人に必要なこと
・プロのミュージシャンを育成する学校に入る。
・ライブ活動をしてファンを増やす。
・オーディションを受ける。
・レコード会社にデモを送る。
プロのミュージシャンになるためにはいろいろな方法がありますが、近年では、
・Youtubeで視聴数を稼ぐ
・SNSで注目を浴びる
などアマチュアの方でも自分でアクションを起こしやすくなりました。
そういった具体的な方法もありますが、このページではもっと根本的な、音楽に対する姿勢や、心構えに近いお話をしたいと思います。
そんなことより、具体的な方法が詳しく知りたい!
と思うかもしれませんが、ここをクリアしていないと、プロのミュージシャンになるまでに挫折してしまうか、プロになれてもフェイドアウトしていってしまうかもしれません。
ハリウッド・オンライン・ミュージックスクール代表で、日本・イギリス・ドイツ・アメリカでプロの作曲家・シンガーとしての活動経歴がある万波麻希(まんなみ・まき)が、現場の経験をもとに、ミュージシャンにとっては「あるある」な、業界の裏話を濃くお伝えしたいと思います。
本気でプロを目指す方は、ぜひ一度最後まで目を通してみて下さい。
プロのミュージシャンって一体どんな人?
その前に質問です。皆さんは、「プロのミュージシャン」と聞いてどんなイメージを抱きますか?
おそらくほとんどの人が、テレビの音楽番組で見るような華やかなミュージシャンのことを思い浮かべると思います。もちろん誰もが知っているような有名人もいらっしゃいますが、それはほんの一握りの人たちです。
「プロになりたい」と思っている人は、「プロのミュージシャン」イコール、レディー・ガガみたいに有名で、大きなコンサートホールで何千人もの観客の前で演奏する人、だと思っているようです。
例えば「レストラン」といっても、家族経営のこじんまりした店から大手チェーン店、ファミレスからこだわりの料亭までいろいろな形態があるように、「プロのミュージシャン」といっても様々な活動形態があるのです。
「プロ」というのは、基本的には、自分の持っている才能や実力でお金を稼ぐ人のことだと思います。
私が初めてミュージシャンとしてお金をもらったのは、自分の歌の先生で、プロのオペラ歌手でもある方のコンサートで、コーラスをする仕事でした。
先生から、「プロというのは音楽でお金をもらう人のこと。あなたはこのお仕事でお金をもらったのだから、もう自分のことをプロだと思いなさい」と言ってもらい、私は先生に背中を押して頂く形で、その日からいわゆる「プロ」になったのです。
もちろん、一回お金をもらっただけでそれっきりだったらプロとは呼べないでしょうが、その時から私はライブやレコーディングなど、歌うことでお金を稼ぎ始めたので、それがやはりプロとしての出発点だったと自分では思っています。
こんな風に、プロジェクトや知名度の大小に関わらず、プロのバックで演奏をしたり、レコーディングに参加したり、音楽を演奏することでお金をもらっている人は、「プロのミュージシャン」だと言えるでしょう。
そのことを把握した上で、実際に「プロのミュージシャン」になるために必要なことを挙げていきましょう。
1.才能や実力を伸ばす
これは当たり前のことだと思われるでしょう。
でも「プロになりたい」と言っている人ほど、実はここが難しいのが事実です。
「プロになりたい」と言う気持ちと、「楽器を愛しているから演奏したい」という気持ちは、全くベクトルが異なる感情だからです。
「プロになりたい」と思っている方は、先程も述べたような、いわゆるきらびやかな世界に目を眩ませていませんか?
ちやほやされたい、プロという響きがかっこいい、有名になりたい、など。
対して、「楽器を愛している」人は、純粋に自分の楽器が好きだからうまくなりたい、と楽器を演奏することばかり考えています。
好きでハマって練習しまくるという、どちらかというと内にこもる、地味といえば地味な作業です。
昔プロのベーシストの方が、「『プロになりたい』と言って楽器を始めるやつは、プロになれない」、という名言を言われており、私も実は同感です。
プロになりたいと最初から思っていると、華やかな印象と、現実の厳しさや下積みの地味さのギャップが激しすぎて、皆やめていってしまうのです。
対して「楽器を愛している」人は、夢中になって練習しまくっているうちにプロ同様に上手くなったので、自分の演奏にお金を払ってくれる人が出てきて、気がついたらプロになっていた、という自然な流れになります。しかも、楽器をマスターするには相当な忍耐が必要になりますから、プロになる頃には精神力もついているでしょう。先ほどのベーシストの方や私も、正にこの流れでプロになっています。
もちろん、目標をもつことは大切ですし、単純にきらびやかな世界に憧れるのではなく、自分が頑張ってきたことを正当に認められたい、と思うのなら道は開けるでしょう。
「プロになりたい」、と始めから思っている人は、もう一度自分に疑問を投げかけてみてください。
あなたは「プロになる」という夢ばかりみて、練習をサボっていませんか? 一生をかけてその楽器をやり抜く自信がありますか?
また、自分の楽器以外にスキルを磨くことも大切です。シンガーになりたいといっても、シンガーとしてだけで食べている人は非常に稀です。
シンガーとしての活動をしながらコーラスとして稼ぐ(ここでは長くなるので書きませんが、シンガーとコーラスというのは異なる技術です)。メインの楽器だけでなく他の楽器もできて、楽譜も書けて、自分で作詞作曲やアレンジもでき、コンピューターで打ち込みもできる。今活躍している人たちはそんな方がほとんどです。
フリーランスのミュージシャンで生きていくなら、営業スキルや集客スキルも必要になってきます。昔のように、レコード会社がすべて用意してくれて、自分はただ歌っているだけでいい、そんな時代ではありません。
手に入れられるスキルはすべて手に入れ、日々鍛錬と努力を怠らないようにしましょう。
2.強固な精神力を身につける
一握りの人だけが生き残れるショービジネスで、強い精神力を持つことが大切なのは言う間でもありません。
プロのミュージシャンとしてやっていくために、私は実際これが一番大切なのではないかと思っています。
ミュージシャンには繊細な方が多く、繊細だからこそ音を感じることができ、美しい音楽を奏でられるのでしょう。ですがビジネスとしてやっていくには、正反対の鉄のような強さが必要になってくるのです。
プロになるまでも、楽器をマスターするまでに相当の年月を費やし、ライブの集客に奮闘し、オーディションに落ちまくり、デモを送ったレコード会社から無視をされ続け、相当数の人がこの段階でプロになるのを諦めていってしまいます。
ですがこんなことくらいで落ち込んでいては、運良くどこかに引っかかったとしても、その後にプロのミュージシャンとして続けていくのは難しいでしょう。
何があっても諦めないしぶとさ、しつこさが音楽業界では必要なのです。
あのライザ・ミネリというブロードウェイの女王も、「キャバレー」という70年代の映画で主役を演じ一躍有名になりましたが、その前に舞台版「キャバレー」のオーディションに14回も落ちています。
私の知人でも、オーディションに落ちまくった日本人ダンサーの方が、40回目にしてようやく受かり、ミュージカルの舞台のバックダンサーとしてアメリカをツアーで回っています。
二人の成功は正にしぶとさの勝利と言えるでしょう。
努力が実り、ようやく音楽でお金をもらえて「プロのミュージシャン」と名乗れるようになったとしても、そこからが本当の修行のスタートです。
プロになってからも、批判は日常的にやってきます。
自分の演奏スキルに自信をなくしたり、作品にダメ出しをされ、自分自身を否定されたような気持ちになることもあるでしょう。
今の時代はSNSでファンや視聴者からのコメントを直接目にしますから、心無いコメントに傷つくこともあるでしょう。私の生徒さんでも、コメントが怖いからYoutubeなどにアップしたくない、という方がいます。
ですが私からすれば、Youtubeのコメントごときを恐れていては、とてもではありませんがプロの世界に立つことはできないと思います。
芸能界で働く知人から聞いた話ですが、あのキョン◯ョンなどは、誰に何を言われてもなんとも思わず、週刊誌などに根も葉もないゴシップを書かれても、「また何か言ってるわ、あはは~」と言って笑ってるんだそうです。
もちろん最初は傷つくこともあるでしょう。が、こういったネガティブな反応にはそのうち慣れます。慣れるくらい批判の数をこなしたら、こっちのものです。
ひどいコメントの中には稀に、自分のためになるコメントもあります。こういった厳しくも大切なコメントは真摯に受け止めます。が、ストレス発散目的で書かれたようなコメントは、笑いながら心の中でポイッとゴミ箱に捨ててしまうのです。
かく言う私も、今までに何度も否定的なコメントにさらされましたが、今ではなんとも思わなくなり、本当に必要なコメントをフィルターにかけられるようになりました。
また、ショービジネスでは悲しいですが、使い捨てのようなことも実際にあります。
・やっとつながったレコード会社が、数回連絡したらその後返事をくれなくなった。
・自分の曲を使ってくれると言っていたのに、自分の知り合いのミュージシャンを紹介したらその人に仕事を取られてしまった。
・信頼していた方と仕事の約束をしていたのに、気がついたら自分は外されて他の人が雇われていた。
そんなことは日常茶飯事です。
欲望のうずまく世界ですから、利用されたり、騙されたり。そんなこともしょっちゅう起こります。毎日がドラマ並の出来事の連続です。
そんな厳しい世界の中で、だんだんとフェイドアウトしていったり、転職する人が後を立たないのです。
ですが、何が起こったとしても、つらいことが理由で絶対に音楽をやめない。その意思の強さこそが成功の秘訣です。
落ち込んでも、絶体絶命でも、細々とでも続けていればそのうち次につながります。絶望したら、休憩してもいいのです。
でも、少しだけ充電したら必ずまた戻ってくる。
何があっても夢を追い続けるしぶとさ、ピンチをチャンスに変える精神力、これこそがプロになるため、そしてプロとして続けていくために一番大切なことだと私は思います。
3. 師と呼べる人を見つける
楽器を習っているほとんどの人に、「先生」という存在がいると思います。最近ではYoutubeなどで、独学で楽器を学んでいる人もいるかもしれません。
あなたが楽器を習っている先やYoutuberの方は、自分が「師匠」と呼べるほどの存在ですか? それとも、単に楽器を教えてくれる人ですか?
音楽の世界に限らず、素晴らしい成功者には、過去に「師匠」と呼べる存在があったはずです。生き方自体に影響を与えてくれ、時に叱ってくれ、間違ったときには軌道修正をしてくれる。成功を目指すなら、あなたが本当に尊敬できる本物の師匠を見つけて師事することが大切です。
町中の音楽教室で教えている講師の方たちは、音大を出ただけで、プロのミュージシャンとしての活動をしたことがない人が多くいらっしゃいます。
もちろん丁寧に教えてくれる素晴らしい先生方はいらっしゃいますし、趣味で習うのであれば何も問題はありません。しかし、プロになりたいのに、プロになったことがない方から楽器を習っていていいのでしょうか?
「一流の建築家を目指している」と口では言いながら、その人の先生が、専門学校を出ただけで建築士になったことがない一般の方だとしたら、あなたはどう思いますか?
プロのミュージシャンとして活躍しながら、レッスンを教えているミュージシャンの方もたくさんいらっしゃいます。そういう方は料金が普通の音楽教室より高く、見つけるのも難しいかもしれません。でも支払った金額以上の財産をあなたに与えてくれるでしょう。
プロの世界で通用する演奏技術はもちろん、プロとしての経験や失敗談、プロになる秘訣をあなたに惜しみなく教えてくれるでしょう。
あなたがプロ並みに上達したら、先ほど挙げた私の歌の先生のように、いつかあなたにも仕事をくれたり、業界の人に紹介してくれる、なんてこともあるかもしれません。
そして何よりも、プロとしてのマインドを持つ方と時間を共にすることは、ミュージシャンとしてのあなたを大きく成長させてくれるでしょう。
お金持ちになりたかったらお金持ちの人たちとつるめ、なんて言いますよね。
プロになりたかったら既にプロの人たちとつるむ。自分が最高にリスペクトできる人から自分の専門分野を学ぶというのは当然のことでしょう。
私自身も、今までに歌の先生だけで20人以上に習っています。プロの声楽家から有名劇団に所属する役者の方、ニューヨークでブロードウェイの俳優に教えている先生に、ロンドンでウエストエンドの俳優に教えている先生など、一流の方ばかりです。
ニューヨークに留学している最中に出会ったドイツ人シンガーの歌に感銘し、ドイツまで飛んでレッスンを受けにいったこともあります。
先生方から教えて頂いたことはもちろん演奏技術に役立っていますし、私の人生を変えた先生もいらっしゃいます。
しかもこれだけの数の方からスキルを習得しているので、ボイストレーニングを教える時にテクニックのネタに困ることはありません(笑)。
その他にも、クラシックピアノにジャズピアノの先生、英語発音の先生に師事、ダンスのレッスン、オーケストラアレンジのための短期レッスン、そしてビジネスのために心理学のセミナーを受けたこともあります。
私がこれらのレッスンに支払ったお金は相当な金額になります。しかし、レッスンで学んだ一流の技術や思想は、私の一生の財産として私の中に残っています。
4. 自分に投資をする
私は今まで上記のレッスンも含めて、音楽活動のために自分が一体いくらお金を使ってきたのか、軽く一千万円は超えるでしょう。
高校生の時には、レッスン代を払うために新聞配達や夜中のファミレスのバイトをし、年に一度の発表会の費用(30万円相当)も、17歳の時自分でバイトしたお金で出していました。
東京にいた頃、家賃も払えないくらい貧乏だったのに、バイトで細々と貯めたお金でプロのミュージシャンを雇い、レコーディングをしたり作品を販売したこともあります。
そういった自分に投資したお金は、いつか自分に帰ってくると私は信じています。
実際に、自分のお金で仕上げた作品を聴いてくれた、著名なDJの方やレコード会社に気に入られ、次の作品を出してもらうことになったり、ギャラなしでもいいなら出してあげると言われたイベントに、ドイツからイギリスまで実費で飛行機で飛んだところ、終わってみたらそれを超える額のギャラを頂くことになったり、ここ近年でも、オーケストラの短期レッスンを受けて作品を作り、実費でロサンゼルの著名なレコーディング・エンジニアを雇って仕上げてもらったところ、日本からオーケストラ作品を作って欲しいとのオファーがあり、レッスン代とエンジニア費を超える謝礼を受け取ることができました。
音楽をやるにはお金がかかります。楽器代、機材代、レッスン代など基本のお金だけでも馬鹿になりません。
でもこれらは優れたミュージシャンになるために一番の基本でありながら、そして最も大切な投資です。
しかしこの一番大切なことにお金をケチってしまっている人が多すぎるように感じます。
・お金がもったいないからと言って機材を持っているもので済ませる。
・ピアニストになりたいのに電子ピアノで済ませる。
・レッスン代が高いからと言ってYoutubeで独学で学ぼうとしたり、安い音楽教室で済ませようとする。
先程の料理人の話に戻りますが、もしプロの料理人になりたいと思っている人が、料理学校に行くお金がないからといって、Youtubeだけで料理を学び、百均で買った包丁と、安売りのスーパーで買った食材で料理をしていたら、あなたはどう思いますか? そんな人の経営するレストランで食事をしたいと思いますか?
今はそんなお金がない、と思っていても、先ほども言ったように投資したお金は必ず返ってくると私は信じています。と言うより、何が何でも取り返すのです。
多額のお金を投資すると、その分、気合が入ります。大したお金を投資していないと、こんなもんでいいか、と引いていってしまうのも早いでしょう。
5. コネクションを作る
どの世界でもそうですが、特にショービジネスでは、コネクション、いわゆる「コネ」を持つことが大切になってきます。
ここが苦手でプロの世界で羽ばたけない、という人がたくさんいらっしゃいます。真面目で、謙虚で、いわゆる「いい人」と呼ばれるような人に、「コネを作るのが苦手」、という人が多いように思います。
特に自分の親が会社員だったりしたら、自分で営業して仕事を取りに行く、なんて姿を一切見ていないわけですから、フリーのミュージシャンとして音楽業界で仕事を取るのがどういうことなのか、感覚をつかむのが難しいかもしれません。
音楽事務所などに最初から入れて、どんどん仕事を取ってきてくれるならいいのですが、基本的には人気商売です。いくら事務所のバックアップがあっても、人との接し方をよく分かっていないと、嫌がられて仕事が来なくなったり、最悪の場合事務所をクビになってしまうかもしれません。
実は私も最初はこの「コネ作り」というものがものすごく苦手でした。業界でコネを作るというと、仲良くなる人を選んでいるようで、何か汚いことをしているような印象を持ってしまい、どうにもうまく振る舞うことができませんでした。
音楽業界に入ると、単発のプロジェクトに関わることが多くなるので、次から次へと様々な人と出会うことになります。その度に、常に自分をアピールしないといけない気がして疲れてしまうこともありました。正に、根が真面目だからそう感じてしまっていたのでしょう。
ですが、難しく考えなくてもよかったのです。
「コネを作る」とか、「仲良くなる人を選ぶ」のではなく、好きなものが似ている友達を作る、とか、同じ志を持った仲間を作る、と思えばいいのです。目上の人であれば、尊敬する人の側にいさせてもらう。
そんな風に考えるようになってからは、私も気持ちが随分楽になり、コネを作るのが楽しくなって、本当に気の合う仲間と仕事ができるようになりました。
サラリーマンの人たちも、クライアントと飲みに行って親睦を深めるように、音楽業界の仕事も「飲み会で決まる」と言われることがあります。
どんなにデモを送ってもオーディションを受けてもダメだったのに、友達の誘いで飲み会に行ったらそこで名刺をもらい、あっさり仕事が決まった、なんていうのもよくある話です。
私自身、実は今までオーディションを受けたり、デモを送ったりしたことは過去に数回程度で、自分で営業をしたこともほとんどありません。ありがたいことに、仲良くなった人たちが仕事を紹介してくれたり、コネがあったからCDを出せたりしたのです。ですが、そうなるまでに相当な数のライブを経験したり、イベントに顔を出したりもしていました。
ですので、出会った人がすぐに仕事をくれるとか、重大なつながりをくれると思ってはいけません。そういう風に思っている人はだいたいギラギラしていますから(笑)、嫌なオーラを感じて避けられてしまうかもしれません。
中には本当に人の足を引っ張ったり、役に立たない人間関係を切り捨てるような、強引な方も残念ながらいらっしゃいます。
そういう人は実際に成功の階段を早く上るかもしれませんが、はっきり言って落ちるのも早いです。もしそんなやり方で有名になんてなってしまったら、干された時に業界に一生帰ってこれない、なんてことも起こり得るでしょう。
私の周りでも、利用できる人間は誰でも利用し、傲慢な態度で上り詰め、少しの名声を手にした方がいらっしゃいます。しかし、あまりのずさんな振る舞いに悪評が広がってしまい、今は音楽から完全に足を洗って、全く別のビジネスをしていらっしゃいます。
厳しいショービジネスでも、結局は人と接するお仕事です。やはり最後に勝つのは正直さ、そして誠実さなのです。
6. プロフィールに磨きをかける
プロを目指しているのであれば、人目を引くプロフィールが必要になります。
オーディションを受けるのなら書類選考があります。
プロになった後でさえ、関係者が自分のプロフィールを調べたりするのです。
とはいえ、現在アマチュアの方や学生さんであれば、ミュージシャンとしてのプロフィールが真っ白、という人もいるでしょう。
ですが、プロフィールというのは仕事の経歴だけではなく、子供時代に経験した自己紹介も入るのです。例えば、3歳からピアノを習っていたら、それは立派なプロフィールになります。
ライブをした経歴が町内会のイベントしかなかったとしても、そのイベントには何人来客がありましたか? もし300人が来た夏祭りなら、全員がライブを見ていなかったとしても、それはプロフィールに載せられる立派なイベントだと思います。
ゲストで誰か一人でも、著名な人が来たりしませんでしたか? 単純に夏祭りで演奏した、ではなく「300人が来場し、◯◯もゲストで参加したイベントで演奏」というふうに書くのです。
もしライブすらしたことがなければ、自分で何か企画しましょう。
プロでさえ、宣伝のために実費でライブやツアーを組むことがあります。
あの有名なYM△も、レコード会社が実費で海外のツアーを組んで「海外にも呼ばれた」と箔を付けたのです。
他にも「グラストンベリー・フェスティバル(イギリス最大のロックフェス)で演奏した」というプロフィールのあるロックバンドがいますが、イギリスでは彼らはほぼ無名。
自分たちで機材をかついで会場に行き、メインではなく小さなステージで演奏したというのが実情だそうです。
地元のライブハウスに出してもらうようお願いしたり、自分からイベントにデモを持っていって頭を下げてみたり。それでもだめなら、自分のポケットマネーでイベントを企画して、ギャラを用意して有名人の一人でも呼んでみる。そうやってプロフィールを自分で作っていくのです。
そうして経歴を積み上げていくうちに、正式な形で向こうから出演依賴が来るようになるでしょう。
どこで音楽を習ったか、というのも重要なプロフィールになります。
あなたの先生や音楽学校が有名であればあるほどいいです。
先生自体が有名人じゃなかったとしても、大きなプロジェクトに関わったとか、著名なミュージシャンと共演した方だったとしたら、それもあなたのプロフィールに載せる素晴らしい材料になります。
なぜなら、大きなプロジェクトに関わった、イコール、その先生は業界で素晴らしい人材、というのは一目瞭然だからです。
もしあなたの目の前に、アマチュアで無名のドラマーであるAさんとBさんがいたとして、Aさんは「町の音楽教室で習った人」、Bさんは「マイケル・ジャクソンのバンドメンバーとして、世界ツアーを回ったドラマーに師事した人」だったとしたら、あなたはどちらがすごい演奏者だと思いますか? 二人の演奏を全く聴いたことがなかったとしても、Bさんの方がすごいと瞬間的に思ってしまうでしょう。
オーディションで書類選考をする時は、演奏すら聞いてもらえないこともあります。ですので、著名な方に習った経歴があると、書類選考において非常に効果的なのです。
オーディションに受かったとしても、ただ上手いだけでは売り文句にならず、何かフックになる事実が必要です。
新人ドラマーのCDのジャケットに、「マイケル・ジャクソンのバンドメンバーの弟子」と書いてあったら、手にとって聴いてみたくなりませんか? レコード会社などの売る側も、そういった話題になる人を探しているのです。
私が過去に受けたオーケストラの短期個人レッスンの先生は、クエンティン・タランティーノの映画「キル・ビル」のオーケストラを担当した作曲家の方でした。
そのことを知った日本のプロデューサーの方が、すぐに私にオーケストラの仕事を振ってくれたことがあります。
このように、著名な講師や学校に投資した労力やお金は、いつか必ず輝かしい経歴となって自分のもとに戻ってくるのです。
ただし、嘘は絶対にやめましょう。
嘘のプロフィールはバレますし、バレた時にそれこそ今後一切仕事が来なくなる恐れがあります。
自分でプロフィールを作る努力を怠らないようにし、経歴ができるごとにしっかり上手に書き込むことを忘れないようにしましょう。
いかがでしょうか?
具体的なアプローチではありませんが、プロの現場を経験した人間だけが知っている、かなり的を得た話だと自分では思っています。
ここに書いたようなことを知らずに具体的なアプローチをしてもなかなかうまくいかず、音楽業界からフェードアウトしていってしまう人が多いのが現状です。
私の運営するハリウッド・オンライン・ミュージックスクールでは、ロサンゼルスで活躍するスゴい経歴を持ったアメリカ人ミュージシャンたちが講師として多数在籍していて、日本のご自宅にいながら、同時通訳付きでレッスンを受けることができます。
当校の講師たちは、世界的に有名なメジャーアーティストたちと共演したり、誰でも知っているハリウッド大作の映画音楽などで活躍していますから、こんな先生たちに師事すれば、あなたの「プロフィールに磨きをかける」ことも夢ではありません。
あなたの「人生の師」と呼べるほど存在になって、プロの真髄を見せてくれるでしょうし、「自分に投資をする」なら、このくらい素晴らしい先生たちのレッスンに投資したいですよね。
何よりも、アメリカ音楽業界のトップに立つ人たちと「コネクション」を作れるなんて、普通の人には経験できない素晴らしいことだと思いませんか?
ご興味のある方は、ぜひ一度当校の体験レッスンを利用してみてください。
私・代表の万波麻希による無料カウンセリングも随時受け付けています。
インターネット環境をよくしたい、オンラインレッスンの疑問点、楽器上達で悩んでいること、プロのミュージシャンになるためのアドバイスなど、レッスンや音楽に関することを何でもお話頂けます。どうぞお気軽にご相談ください。